コラム
2026/08/24 2026/08/04

不貞慰謝料の相場と請求の流れとは?裁判例に見る認容額の傾向も解説

「配偶者の不貞が発覚したが、慰謝料はいくら請求できるのだろう」とお悩みではありませんか?

配偶者の不貞行為が発覚した場合、精神的苦痛に対する損害賠償として慰謝料を請求することができますが、「相場がわからず、いくら請求すればよいか見当がつかない」「不貞相手にも請求できるのか」「証拠がないと請求できないのではないか」といった不安を抱える方も少なくありません。

本記事では、不貞慰謝料の法的根拠、実際の裁判例における認容額の傾向、金額に影響する要素、請求の流れについて詳しく解説します。

不貞慰謝料の法的根拠

配偶者の不貞行為は、夫婦の平穏な婚姻生活を害する不法行為に当たり、精神的苦痛を受けた配偶者は、不貞行為をした配偶者及び不貞相手に対して慰謝料を請求することができます(民法709条、710条)。

不貞行為をした配偶者と不貞相手は、共同不法行為者として連帯して損害賠償責任を負うのが原則です(民法719条1項)。そのため、不貞相手のみに対して請求することも可能です。

不貞慰謝料の相場|実際の裁判例ではいくら認められているか

不貞慰謝料の金額は個別事情によって大きく異なるため、一律の相場を示すことは本来難しいものです。もっとも、実務家向けの解説書では、次のような傾向が指摘されています。

  • 東京地方裁判所における不貞慰謝料請求事件の分析では、認容額100万円〜249万円のレンジとなる事案が多く、500万円以上の高額な認容となった事案は全体の約5%程度にとどまるとされています(出典:東京家庭裁判所家事第6部編著『東京家事事件の実情〔第3版〕』判例タイムズ社、2012年、87頁)。

このように、統計的には100万円台〜300万円程度のレンジに収まる事案が多い一方、事情によっては認容額が0円(請求が認められないケース)にとどまることもあれば、500万円を超える高額な認容例まで、幅広い分布があります。

もっとも、ここで注意すべきなのは、どのような証拠があり、どこまで不貞行為を立証することができたか、ということによって、認容金額は大きく上下することです。

下記では認容金額に影響する要素について確認したいと思います。

不貞慰謝料の金額に影響する要素

裁判例の分析では、次のような事情が金額の増減に影響するとされています(出典:『不貞慰謝料の算定事例集 判例分析に基づく客観的な相場観』)。

増額される傾向がある事情

  • 婚姻期間が長い
  • 不貞行為の期間が長い、頻度が高い
  • 不貞行為が原因で離婚に至った
  • 不貞相手が妊娠・出産した
  • 謝罪がない、不貞関係を否認し続けた

減額される傾向がある事情

  • 不貞行為以前から婚姻関係が悪化・破綻していた
  • 婚姻関係の悪化について請求する側にも責任がある
  • 一度は不貞行為を許した(宥恕した)経緯がある

これらの事情を総合的に考慮して、個別に金額が判断されます。

具体的な裁判例に見る認容額の傾向

実際にどのような事情でどの程度の金額が認められているか、久保田有子『不貞慰謝料の算定事例集』(新日本法規出版)に紹介されている裁判例のうち、傾向がわかりやすい例をいくつかご紹介します(金額はいずれも認容額の概要です)。

比較的高額な認容となった例

  • 婚姻期間10年以上で、不貞行為が離婚の決定的な原因になったと認定された事案:認容額300万円(請求額1,000万円)(東京地判平23・2・22)
  • 不貞相手と不貞配偶者の共同不法行為が認められ、連帯責任とされた事案:認容額300万円(請求額500万円)(東京地判平21・6・17)

婚姻関係が既に不安定であったこと等が考慮され、比較的低額・減額となった例

  • 請求者側が一度は不貞行為を許した(宥恕した)経緯が考慮された事案:認容額120万円(請求額900万円)(東京地判平22・7・28)
  • 不貞配偶者(相手方)の過去の不貞行為など、請求者自身に関連する事情が考慮された事案:認容額140万円(請求額350万円)(東京地判平22・7・28)
  • 婚姻関係破綻の主たる原因が請求者側にあると判断された事案:認容額50万円(請求額500万円)(東京地判平22・11・30)

このように、同じ「不貞行為」であっても、婚姻期間や不貞の態様だけでなく、請求者側の対応(宥恕の有無等)や婚姻関係破綻の主たる原因がどちらにあるかによって、認容される金額には大きな差が生じます。

慰謝料が認められない・低額にとどまるケースもある

不貞行為があったとしても、次のような事情がある場合には、慰謝料請求自体が認められない、あるいは大きく減額されることがあります。

  • 不貞行為が始まった時点で、既に婚姻関係が破綻していたと認められる場合
  • 性的関係が両者の合意に基づくものと認定され、責任が限定的と判断される場合
  • 請求者側にも婚姻関係の悪化について相応の責任があると判断される場合

実際に、婚姻関係が既に破綻していたと判断され、不貞相手への請求が認容額0円となった裁判例も存在します(東京地判平15・8・27等)

「不貞行為があった以上、高額の慰謝料が確実に認められる」というわけではなく、婚姻関係の状況や請求者側の事情も含めて総合的に判断される点に注意が必要です。

不貞慰謝料請求の流れと時効

不貞慰謝料を請求する場合、一般的には次のような流れで進みます。

  • 証拠の収集(メール・写真・調査報告書等)
  • 内容証明郵便による請求
  • 相手方との交渉
  • 交渉がまとまらない場合は調停・訴訟

また、不貞慰謝料の請求権には時効があり、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で消滅時効にかかります(民法724条)。証拠が散逸する前に、早めに対応することが重要です。

不貞慰謝料の請求はお早めにご相談ください

不貞慰謝料の請求は、証拠の集め方や請求先(配偶者のみか、不貞相手も含めるか)によって、その後の進め方や離婚問題との兼ね合いが大きく変わります。

  • 証拠を集める前
  • 相手方に直接問いただす前
  • 内容証明を送る前
  • 離婚するかどうかを決める前

といった段階で弁護士に相談することで、法的なリスクを整理した上で、適切な対応方針を検討しやすくなります。

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まとめ|不貞慰謝料は個別事情と裁判例の傾向を踏まえた検討が重要です

不貞慰謝料の金額は、婚姻期間や不貞の態様、婚姻関係破綻の経緯といった個別事情によって大きく異なります。統計的には100万円台〜300万円程度のレンジに収まる事案が多いものの、事案によっては0円から500万円超まで幅があり、時効の問題もあるため、早めに証拠を整理し、専門家に相談することが大切です。

配偶者の不貞でお悩みの際は、お一人で抱え込まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

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