コラム
2026/08/10 2026/08/04

財産分与の対象範囲と評価方法とは?離婚に伴う疑問を解説

「離婚を考えているが、自分名義の預金や退職金も財産分与の対象になるのだろうか」とお悩みではありませんか?

財産分与は、婚姻中に夫婦で協力して築いた財産を離婚に際して分け合う制度ですが、「名義が自分名義だから対象外のはず」「専業主婦(主夫)だったので分与を受けられないのでは」といった誤解も少なくありません。

実務上は、名義にかかわらず実質的に夫婦の協力で得た財産かどうかで判断されるため、対象財産の範囲や評価の基準時を正しく理解しておくことが、適切な分与額を受け取るための第一歩です。

本記事では、財産分与の対象となる財産の範囲、評価の基準時、退職金や会社名義の財産といった判断が難しいケースについて解説します。

財産分与とは?

財産分与とは、離婚に際して、夫婦の一方が他方に対し、婚姻中に協力して築いた財産を分配する制度です(民法768条1項)。離婚が成立した日から5年以内であれば請求することができます(民法768条2項)。 

※令和6年3月31日以前に離婚された方については、2年以内となります。

財産分与には、主に次の3つの要素が含まれていると解釈されています。

  • 清算的財産分与:婚姻中に築いた財産の清算
  • 扶養的財産分与:離婚後の生活を支える扶養的な要素
  • 慰謝料的要素:精神的苦痛への配慮

実務上、中心となるのは清算的財産分与です。

財産分与の対象となる財産の範囲

財産分与の対象は、夫婦が婚姻中に協力して得た財産です(民法768条3項)(出典:同資料1頁)。

名義がどちらか一方であっても、実質的に夫婦の協力によって形成された財産であれば対象に含まれます。具体的には、次のような財産が対象となり得ます。

  • 不動産(自宅、投資用不動産等)
  • 預貯金
  • 株式・投資信託
  • 退職金・企業年金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 自動車

一方で、婚姻前から有していた財産や、相続・贈与によって得た財産(いわゆる特有財産)は、原則として対象外です。

評価の基準時はいつ?

財産分与の対象となる財産をいつの時点の金額で評価するかは、実務上重要な論点です。

古い最高裁判例は、離婚時(訴訟の口頭弁論終結時)の財産状況を基準とすべきとしていました(最一小判昭34・2・19民集13巻2号174頁)。

しかし、現在の裁判実務では、夫婦の経済的協力関係が失われた時点、すなわち別居時を基準時とするのが一般的です。別居後に資産が増減しても、その理由によっては「その他一切の事情」(民法768条3項)として考慮されることがあります。

判断が難しいケース|退職金・会社名義の財産

財産分与の対象になるかどうかの判断で特に問題となりやすいのが、退職金と会社名義の財産です。

  • 退職金:定年退職までまだ期間がある場合でも、受給の蓋然性が認められれば、同居期間に対応する部分が対象となる傾向にあります。基準時に自己都合退職したと仮定した場合の見込額を基礎に算定されることが一般的です。
  • 企業年金:財産分与時点で受給が始まっているかどうかによって扱いが異なり、未受給の場合は受給開始までの蓋然性が重視されます。
  • 会社名義の財産:形式的には第三者(会社)名義であっても、実質的に夫婦(家族経営の同族会社等)が経営し、資産や収益が実質的に帰属していると認められる場合には、対象財産となることがあります(広島高岡山支判平16・6・18判時1902号61頁参照)。

このように、名義や支給時期だけで判断せず、実質的な帰属や受給の蓋然性を丁寧に検討する必要があります。

財産分与は離婚協議・調停の前に弁護士へご相談ください

財産分与は、対象財産の把握や評価方法によって受け取れる金額が大きく変わることがあります。次のような段階で弁護士へ相談することで、法的なリスクを整理した上で交渉に臨むことができます。

  • 離婚協議書へ署名する前
  • 財産分与について相手方と話し合いを始める前
  • 調停・訴訟に移行するかどうかを検討する段階
  • 退職金や会社名義の財産など、評価が難しい財産がある場合

特に相手方名義の財産が多い場合や、退職金・自営業の資産が絡む場合は、専門的な調査・評価が必要になることもあるため、早めのご相談をお勧めします。

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わかさ法律事務所では、福岡市西部・糸島地域を中心に、相続・離婚・企業法務をはじめとする幅広い法律問題に対応しております。

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まとめ|財産分与は対象財産の範囲と評価時期の見極めが重要です

財産分与では、名義にとらわれず実質的に夫婦が協力して築いた財産かどうかを見極めることが大切です。また、評価の基準時や、退職金・会社名義の財産といった判断が難しいケースについては、専門的な検討が必要になります。

財産分与でお悩みの際は、お一人で抱え込まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

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