コラム
2026/09/07 2026/08/21

相続放棄の期限と手続きとは?3ヶ月を過ぎた場合の対応も解説

「親が亡くなったが、借金の方が多いようで相続放棄をすべきか悩んでいる」とお悩みではありませんか?

相続放棄には期限があり、「何をいつまでにすればよいのか分からない」「期限を過ぎてしまったらどうなるのか」といった不安を抱える方は少なくありません。

本記事では、相続放棄の期限(熟慮期間)とその起算点、3ヶ月を過ぎてしまった場合の考え方、手続きの流れについて解説します。

相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人が家庭裁判所に申述をすることで、初めから相続人でなかったものとみなされる制度です(民法938条、939条)。プラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も一切引き継がないことになります。

相続放棄の期限(熟慮期間)とは

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内(熟慮期間)にしなければなりません(民法915条1項)。この期間内に相続放棄も限定承認もしなければ、単純承認したものとみなされます(民法921条2号)。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、原則として、被相続人が亡くなったこと(相続開始の原因たる事実)と、それによって自分が法律上相続人になったことの両方を知った時を指すと解されています。

熟慮期間の起算点|「知らなかった」場合の考え方

被相続人が亡くなったことは知っていても、相続財産の存在に全く気づかないまま3ヶ月が経過してしまうケースもあります。この点について、最高裁判所は、相続人が3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつそのように信じたことについて相当な理由があると認められるときには、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時、又は通常これを認識しうべき時から起算すべきであるとしています(最判昭和59年4月27日民集38巻6号698頁)。

そのため、被相続人と長年疎遠であった、あるいは債権者からの請求で初めて借金の存在を知ったといった事情がある場合には、3ヶ月を過ぎていても相続放棄が認められる可能性があります。

起算点の繰下げが認められるかは事案ごとに判断が分かれます

もっとも、起算点の繰下げが認められるかどうかは、実務上、事案ごとに判断が分かれるところです。相続放棄の実質的要件を欠くことが明白でない限り、家庭裁判所の申述受理の段階では繰下げを認める傾向にある一方、後に訴訟等で効力が争われた場合には、相続財産の調査を期待することが著しく困難な事情があったとはいえないとして、繰下げを認めない裁判例も相当数存在します。

特に、相続財産の一部(例えば預金の存在)は認識していたが、想定していなかった多額の債務が後から判明したというケースでは、繰下げが認められるかどうかについて裁判例でも判断が分かれています。最高裁判所は、相続財産として不動産・預金の存在は認識していたが保証債務の存在を知らずに熟慮期間が経過した事案などについて、繰下げを認めなかった高等裁判所の判断を是認したこともあります(最決平成13年10月30日家月54巻4号70頁参照)。一部の財産を知っていたからといって当然に繰下げが否定されるわけではありませんが、財産の一部を認識していた場合は、何も知らなかった場合に比べて判断が厳しくなる可能性がある点には注意が必要です。

なお、相続人が複数いる場合、熟慮期間は各相続人ごとに、それぞれが自己のために相続の開始があったことを知った時から個別に進行します(最判昭和51年7月1日家月29巻2号91頁参照)。他の相続人が先に事情を知っていたとしても、自分の熟慮期間の起算点が早まることはありません。

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄は、次のような流れで進めます。

  • 被相続人の財産・負債の調査
  • 相続放棄申述書の作成
  • 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所への申述
  • 家庭裁判所からの照会書への回答
  • 相続放棄申述受理通知書の受領

なお、相続放棄をすると、その相続人は初めからいなかったものとして扱われるため、次順位の相続人(子が放棄した場合は被相続人の親、親もいない場合は兄弟姉妹等)に相続権が移る点に注意が必要です。放棄する際は、この点をふまえて他の相続人への連絡を検討することも重要です。

相続放棄をご検討の際は早めにご相談ください

相続放棄には期限があるため、次のような段階で早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

  • 被相続人の借金の存在が疑われる段階
  • 熟慮期間の3ヶ月が迫っている場合
  • 既に3ヶ月を経過してしまった場合
  • 相続財産の一部を処分してしまった(単純承認とみなされる可能性がある)場合

特に期限が迫っている場合や既に経過してしまっている場合は、対応の可否について早急な検討が必要になるため、できるだけ早くご相談ください。

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まとめ|相続放棄は3ヶ月の期限と起算点の考え方に注意が必要です

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要がありますが、事情によっては起算点が後ろにずれる可能性もあります。ただし、その判断は事案によって分かれるため、期限が近い、あるいは過ぎてしまったという場合も、諦める前にご相談ください。

相続放棄でお悩みの際は、お一人で抱え込まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

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