コラム
2026/08/03

共同親権とは?2026年4月施行の改正民法のポイントを解説

「離婚したら親権はどちらか一方のものになる」——これまでそう考えていた方も多いのではないでしょうか。

2026年4月1日、離婚後の親権に関するルールを大きく変える改正民法が施行されました。今回の改正では、離婚後に父母双方を親権者とする「共同親権」を選べるようになったほか、養育費や親子交流、財産分与に関するルールも見直されています。

「うちの場合、共同親権になるのか」「もう離婚してしまったが、何か変わるのか」といったご相談も増えています。

本記事では、今回の民法改正の要点を、親権・養育費・親子交流・財産分与の分野ごとに解説します。

親権に関するルールの見直し

これまでの民法では、離婚後の親権者は父母のどちらか一方に限られていました。今回の改正により、離婚後は「共同親権」「単独親権」のどちらかを選べるようになります。

(出典:法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」20261月改訂版 p.3

親権者はどう決まるか

  • 協議離婚の場合:父母の話し合いにより、共同親権とするか単独親権とするかを決める
  • 話し合いがまとまらない場合や裁判離婚の場合:家庭裁判所が、父母と子どもとの関係などさまざまな事情を考慮して定める

(出典:同資料 p.3

   基本的には、上記のようなルール整理となっています。

単独親権となるケース

次のような場合には、家庭裁判所は単独親権を定めることとされています。

  • 虐待のおそれがあると認められるとき
  • DVのおそれその他の事情により、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
  • その他、共同親権と定めることで子どもの利益を害すると認められるとき

(出典:同資料 p.3

  これらのルールは民法第819条7項柱書後段および各号にて定められています。

日常の判断と重要な判断で異なるルール

父母双方が親権者となった場合でも、すべての決定を都度話し合う必要があるわけではありません。

  • 食事や服装、短期間の旅行、通常のワクチン接種など「日常の行為」は、単独で決めることができる
  • 進学先の決定や重大な医療行為の判断、財産の管理など重要な事項は、父母が共同で行う

また、DVや虐待からの避難、緊急の医療行為が必要な場合など「急迫の事情」があるときは、日常の行為にあたらない事項でも単独で親権を行うことができます。父母の意見が対立する場合は、家庭裁判所に「親権行使者」の指定を求めることも可能です。

(出典:同資料 p.4

これらのルールは、民法第824条の2 第2項、民法第824条の2 第1項第3号に定められています。

既に離婚している方への影響

今回の改正法施行前に離婚し、単独親権となっている場合、施行によって自動的に共同親権に変わることはありません。共同親権への変更を希望する場合は、家庭裁判所への申立てが必要です。ただし、養育費の不払いが続いている場合や、虐待・DVのおそれがある場合は、共同親権への変更が認められにくいとされています。

(出典:同資料 p.5 Q&A Q1

今後の家庭裁判所の運用によって、共同親権への変更に関するルール変更はより具体的に明らかとなってくると考えられます。

養育費の支払確保に向けた見直し

養育費が支払われないという問題に対応するため、次の2つの制度が新設されました。

  • 法定養育費:養育費の取決めをしないまま離婚した場合でも、子ども1人あたり月額2万円を暫定的に請求できる制度
  • 先取特権:父母間の私的な取決め文書があれば、裁判所の調停等を経ずに差押えの手続を申し立てられる制度(先取特権が認められる上限は子ども1人あたり月額8万円)

いずれも、取決めをするまでの補充的な制度であり、実際の収入等を踏まえた適正な額の取決めをすることが引き続き重要とされています。

(出典:同資料 p.6

親子交流に関する見直し

これまで規定のなかった、婚姻中に父母が別居している場合の親子交流についても、父母の協議、または家庭裁判所の審判等により定めることが明確化されました。あわせて、家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に実施できる制度や、祖父母など父母以外の親族との交流に関するルールも新設されています。

(出典:同資料 p.8-9

財産分与の請求期間が2年から5年に伸長

財産分与を請求できる期間が、これまでの離婚後2年から、離婚後5年に伸びました。財産分与にあたって考慮すべき要素(婚姻期間、生活水準、各自の寄与の程度など)も明文化されています。なお、施行前(2026年3月31日以前)に離婚した場合の請求期間は、従来どおり2年です。

(出典:同資料 p.10

法律トラブルは早めに弁護士へ相談することが重要です

今回の改正は、親権の定め方だけでなく、日々の子育てにおける決定の仕方や養育費、親子交流のあり方にまで関わる内容です。

  • 離婚協議を始める前
  • 離婚後の親権を共同親権にするか単独親権にするか迷っている
  • 既に離婚しており、共同親権への変更を検討している
  • 相手方との間で日常の行為・重要な決定の線引きに争いがある

このような場面では、早めに弁護士へ相談することで、ご自身とお子様にとって望ましい選択肢を整理しやすくなります。

福岡市西部・糸島地域で法律相談をご検討中の方へ

わかさ法律事務所では、福岡市西部・糸島地域を中心に、離婚・親権・養育費をはじめとする幅広い法律問題に対応しております。

代表弁護士である私は、独立開業前に国内有数の大手法律事務所において、多岐にわたる案件を担当してまいりました。その経験を活かし、一人ひとりのご事情を丁寧にお伺いしながら、ご相談者様の状況に応じた解決策をご提案しています。

まとめ|共同親権制度の導入で、離婚後の親権の選択肢が広がりました

2026年4月の民法改正により、離婚後の親権は「共同親権」「単独親権」のいずれかを選べるようになり、養育費や親子交流、財産分与に関するルールも大きく見直されました。

制度が新しく、実務の運用が固まっていく途中の分野でもあるため、ご自身のケースでどのような選択が望ましいかは、個別の事情を踏まえて検討する必要があります。

共同親権制度についてお悩みの際は、お一人で抱え込まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

参考資料・出典

法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました~親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の解説~」(2026年1月改訂版)

法務省ウェブサイト:改正法の詳細・Q&A形式の解説 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html

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